柴田麻衣の制作スタイルはいくつかの変遷を辿っている。２００４年以来参加している当ギャラリーでのグループ展出展作品は、ペインティング、版画、アクリル作品などその都度変化している。
　今展では、これまでの制作技法を活かしながらも、根本から見直し、自らの表現意図に最も適したスタイルを確立しようとする気迫がうかがえる。モチーフはこれまで同様、植物や風景である。しかしこれまで以上に心象的である。
パネルに限られた色、シンプルな形で描かれている。見てきた土地での印象、そこにまつわる出来事に自らの想いをのせ、深く美しく表現する。絵のなかに、人の営み、ドラマ、歴史・・が感じられる。
　当ギャラリーでの初個展です。柴田麻衣の新境地、是非ご高覧ください。（芽楽）
□作家コメント
旅先で見た一つの風景。そこには旅の記憶が写っている。しかし、それだけではない。その風景には旅行者では想像もつかない、いくつもの物語が語られている。長い歴史の中で培われた人々の営み、そこで生まれた想い。私は日々の生活の合間にその物語を感じてみたい。　ー柴田麻衣

　これまで見た吉田の絵には、一貫して故郷新潟県村松での生活の記憶が刻まれている。家、子供の頃遊んだ場所、慣れ親しんだ山や林、・・。それらの記憶は必ずしも楽しく、美しく、やさしいものだけではない。むしろ厳しさ、寒さ、寂しさ、辛さなども湛えている。切っても切れない縁、消せない、消してはならない記憶が繰り返し描かれている。作家の内面に潜むものを抉るように制作を続けている。吉田にとって版画制作は自分に立ち向かい、見つめることであり、故に正直になれる喜びがある。画面には本来の自分を見出さんと、懸命に生きる作家の真実がほとばしっている。（芽楽）